本当に怖い食中毒

高齢者が食中毒に罹ると命取りになりかねません。私は高齢者施設や病院で30年ほど勤務していますが、食中毒を出したことはありません。前回に引き続き、皆さんにどうすれば食中毒を防げるかお話ししたいと思います。

梅雨なのにノロウイルス?!

ノロウイルスは冬の食中毒として有名です。しかし7月でもノロウイルスが原因の食中毒が発生しています。ノロウイルスの主症状としては「腹痛」「下痢」「吐き気」「嘔吐」等で「発熱」も約37~38度が現れます。潜伏期間としては12~48時間です。下痢は水のような便で一日に何度も見られますが、通常は1~2日程で治まります。嘔吐も何度も起こり、吐く姿を「マーライオン」でたとえることが多いです。

気をつけなければならないのが感染していても症状が現れない、不顕性感染です。身近な人が感染していたら、症状がなくても自分も罹っていると思って対応する必要があります。私は高齢者施設で働いているので、もし家族が感染した場合は症状が治まってから3日間は仕事に来ないよう話されています。

ノロウイルスってどうやって感染するの?

ノロウイルスの原因として二枚貝が有名ですが(特に牡蠣)原因不明のことが多いです。感染したヒトの嘔吐物や便に触れて感染してしまったり、カーペットに嘔吐した際にきちんと消毒せず放ったらかしにしていて、乾燥したウイルスが空中に舞い上がり吸い込んでしまい感染することもあります。これを二次感染といいます。

ノロウイルスの感染予防には、消毒が一番の予防になります。もし自分や家族がノロウイルスに感染した場合は、他の人にうつさないよう嘔吐物や便などの処理が重要になります。

消毒の方法は?

新型コロナウイルスにアルコールが有効と話されていますが、残念ながらノロウイルスには効果はありません。ノロウイルスには次亜塩素酸ナトリウムが有効だと話されています。次亜塩素酸ナトリウムで有名なのはハイターやピューラックス等です。次亜塩素酸ナトリウムは塩素系漂白剤とも言われ、用途により希釈する濃度が変わってきます。

ノロウイルスに感染したヒトの嘔吐物や便などを処理する場合は、塩素系漂白剤を0.1%(1000ppm)に薄めます。水1ℓであれば原液を20㎖、水3ℓであれば原液60㎖に希釈すると0.1%(1000ppm)の塩素系漂白溶剤になります。市販されている塩素系漂白剤によって漂白剤の濃度が変わるので気をつけましょう。上記の消毒液は塩素系漂白剤が約5%濃度のものを使用した場合で計算しています。塩素系漂白剤は漂白作用があるので、脱色されるため使用する際は注意してください。

ノロウイルスが流行している時期は自分や家族が罹らないように、ドアノブやトイレのレバー等を拭き取ることが大切です。その場合は塩素系漂白剤を0.02%(200ppm)に薄めます。このとき気をつけなければいけないことがあります。それは塩素系漂白剤は金属をさびさせる性質があるので、金属のドアノブやトイレのレバーを消毒液で拭き取った後は水拭きをしなければならないということです。

先ほども話しましたがアルコール消毒は新型コロナウイルスに有効ですが、ノロウイルスには効果はありません。しかし塩素系漂白剤は刺激が強く手指消毒に使用できません。ノロウイルス予防には泡状ハンドソープを使用し、こまめに手を洗いウイルスを洗い流すことが大切です。食中毒予防は手洗いに始まり手洗いに終わると言われるほど重要なんです。

こまめに手洗いをして家族をノロウイルスから守りましょう。

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